2025年8月22日(金)、中国・上海インドアスタジアムにて開催の『ROAD TO UFCシーズン4 準決勝 エピソード5&6』(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)に向け21日(木)、前日計量が行われた(※大会速報はこちら)。
▼ROAD TO UFC 4 フェザー級トーナメント準決勝 5分3R ※選手名から前戦リー・カイウェン(中国)15勝6敗 145.5ポンド(65.99kg)中村京一郎(日本)6勝1敗 146ポンド(66.22kg)
5月の1回戦出場の日本人8選手中、唯一勝ち残った中村京一郎(日本)は、フェザー級トーナメント準決勝に向け、145.5ポンド(65.99kg)で計量をパス。対するリー・カイウェン(中国)も146ポンド(66.22kg)のジャストで計量をパス。カイウェンの袈裟斬りをかわした中村は顔をつけてのフェイスオフに臨んでいる。
22日(金)日本時間19時に「エピソード5」が開始予定で、中村は21時からの「エピソード6」の第4試合に出場予定。
今回の準決勝、そしてUFC契約へと繋がるファイナルに向け、現地入りした中村京一郎のセコンドには、8月2日のUFCで1R TKO勝利を挙げたばかりの中村倫也もついている。ONEで9勝3敗という戦績も持つリー・カイウェンとの試合を前に、中村京一郎のインタビューがU-NEXTより届いた。
倫也さんは、すごくいい繋ぎ方をしてくれた
──上海入りしたのはいつでしたか。
「18日月曜の朝ですね」
──ファイトウィークの初日からなんですね。前回に続いて二度目の上海になりますが、今回の会場はUFC PI上海ではなく、上海インドアスタジアムになります。
「特に緊張はなく、ホテルの周りの飯屋が前回よりねえなっていうぐらいの感じですね」
──減量含めコンディションはいかがですか。
「いい感じです。減量もボチボチ進んでますね(※145.5ポンドでパス)」
──今回のセコンドに高谷裕之さん、岡見勇信さんに加え、ATTから中村倫也選手も入るそうですね。いつも見ている先輩2人のほかに、倫也選手に入ってもらったのは?
「倫也さんも含めてアメリカにずっといるんで、ちょうど試合前に帰ってきてくれると。タイミングがめちゃくちゃ良くて、試合直後でバリバリ動けるんで、アップとかもしてもらう感じでお願いしちゃいました。今(そばに)倫也さんいます」
──その倫也選手のネイサン・フレッチャー戦では、まさかの左三日月蹴りをレバーに突き刺してパウンドのTKO勝ち。あの試合について、倫也選手とも話されたかと思いますが、京一郎選手はどんな刺激を受けましたか。「いやー、もう僕が(自分を)ストライカーって言っていいか、分かんなくなっちゃいましたね。まあちょっとそれは冗談なんですけど(笑)、本当に向こうで準備して向き合ってトレーニングしてきたものの賜物だなと。(堀口)恭司さんがいることとかも含めて、すげえいい刺激もらって。“新しい中村倫也”ができてるな、っていう感じがして。KOっていう結果以上に、動きの良さや身体の大きさも含めて、やっぱり(ATTは)いい環境なんだなと思いましたね。本当にいい刺激をもらいました」
──今回の対戦相手のカイウェン選手の分析も、倫也選手とも一緒にしてきましたか?
「そうですね。一緒に試合見たりとか。岡見さんも髙谷さんも見てくれていて、調整しながら(分析してきた)感じです」
──前回の京一郎選手のパク・オジン戦では、ローを蹴って、左をゆっくり置きに行くようなモーションを見せてから、右アッパー、左ストレートを突く場面もありました。緩急をつけるほかにも試合中に左を当てるイメージを作っていたのでしょうか。
「左が当たればいいし、右を当ててもいいしっていう感じで。基本的にはテイクダウンを警戒していたんで、そこをケアしながらでしたね。足もローとかで削ってという感じでした。ローとか蹴りの判断は試合中だったんですけど、基本は距離とパンチの精度をつけるためでしたね」
──最後、オジンの左がかすめて、金網まで後退した。テイクダウン狙いで突っ込んで来たオジンに左ヒザをヒットさせました。スローで見ると、京一郎選手は下がりながらもしっかりオジンの頭の動きを見て左ヒザを突いていました。「無意識の『オート』だった」とのことですが、その「オート」とはどういう状態をいうのか教えていただけますか。
「そうですね……ちょっとイメージしてほしいんですけど、たとえばご飯食べてて、ここは中国なので、真ん中にシュウマイとかギョーザあるとするじゃないですか。食べようと思って箸を伸ばす、取って食べる時に、箸をどうもって掴んで口に運ぶかを気にしてます?」
──してないですね。
「その状態が“オート”なんですよ。無意識の中の意識みたいな感じで考えると、箸ってこんな持ち方だっけ? とか多分なると思うんですよ。ペンで書くのもそうで。なんかそういう感覚でたまたま出しただけで、形とか力感とかはこだわってない。それが一番近い表現なのかなとは思います。むずいっすね(笑)」
──練習で積み重ねたものが、身体に身についていく。
「日頃のちょっとしたことの積み重ねしか、あの場で出ないと思うんですよ。それ以上のものが出たりとかはなくて、基本は練習の部分までしか出ないですよ。それ以上って、やっぱり日頃のことができてないと起こらない。日頃のちょっとした集中力、“これはこうする”っていう使い方とか。その日だけ、あるいは1カ月だけとかでもならない。どこでどう出るかはわかんないけど、とにかく日々の鍛錬かなとは思うんですね」
──そのオートで戦える動きが、今回のカイウェン戦でもどのくらい出せそうでしょうか。
「まあ“オート”って、狙ったらもうオートじゃないんで。あくまで対策した動きっていうのは常に自分の中にあって、どっかでなんか起きると思うし、それは僕自身も分かっていない。どういうKOするのかは僕自身も楽しみだし、みんなと一緒で“どんなKOを見せてくれるんだろう”っていうのは、自分も楽しみなんですよ。皆さんは外から中村京一郎の試合を見てるじゃないですか。俺もそういう感覚なんです。今回、中村京一郎は何で倒すんだろうって。シークレットな部分を楽しみながら試合してるんです。みんなと一緒にね。今回は何で行くんだろうなっていうのを、楽しみながら試合しようかなと思ったんです。なんか自分のことを自分が喋ってるみたいで嫌ですね(笑)」
──前回の勝利はご自身の対レスラー、グラップラーへの対処能力に関して、自分に自信を与えてくれたという感覚もありますか?
「ヒザ蹴りで勝ったのはたまたまで、そこまでにちゃんとテイクダウン切ったっていうのが、練習してきたのが間違ってないと感じられました。“俺つええ”じゃなくて“間違ってなかった”っていう自信にはなりました。そこが今回にどう繋がるとかはないですね」
──あのヒザ蹴りがあったことで「安易に下にはタックルにはいけない」というプレッシャーを与えられたと感じますか?
「僕自身は思ってないですけど、そう思ってくれたら最高だし、『あいつ左ストレートだけじゃなくて左ヒザもあるのか』って研究してくれたらそれはそれでいいし。それすらも研究してカバーしてくるのが試合だと思うんで。“あのヒザあるけど、どうやってテイクダウンする?”って考えるだけで、やっぱり作戦って変わっていくと思うんですよ。そうなってくれないと、いい試合にはならないかなとも思うし。プレッシャーになってるなら、それはそれでいいしっていう感じですね。 変な話、あれで勝っちゃうってことは、自分の武器を見せてるようなものなんで。馬鹿と鋏は使いようってことですね。本当に僕のヒザもたまたま当たってKOしたけど、逆に僕がヒザを狙いすぎて顔を(パンチを)もらうとか、全然ありえる展開だと思うんで。僕自身があんまり意識しないのがキーかなとは思ってますね」
──カイウェンはオーソでもサウスポー構えでも戦える。ソ・ドンヒョン戦では相手の打ち返しにカウンターで右アッパーを突いてKOするなど、『剛腕』と言われながらもコンパクトな打撃も見せます。レスリング出身ですが、あまり組まない彼の打撃をどう見ていますか。
「それらも含めて、リー・カイウェンって感じです。やるのはMMAなんで。レスリングも強いし、実績もあると思うんですけど、結局触ってないところからのスタートだし、打撃から始まると思うんで。まあタックル来てもいいし、スタンド来てもいいし、準備はもちろんしてきました。なので、“一人のMMA選手”としてしか見てないですよね。レスラーのカイウェンを知らないんで」
──その一方であの全身タトゥーの風貌に似合わず、慎重過ぎる動きも見ませす。
「まあでも結局ピークの火力っていうか、スピードとか回転はあると思うんで、それが劣ったっていう感じではないと思うんですよ。だから慎重だとしても、どっかでそれは出てくると思うし。彼もたぶんMMA、長いんですよね。だからこそ経験値で慎重になっていく。ベテランになっていくとそうなる選手が多いと思うんです。まあ慎重になったらなったで、こっちもそれにアジャストしてやるし、ガンガン1R目から来てもこっちはアジャストするんで。何が来てもいいかなって感じです」
──ほか日本人選手が敗退するなか、京一郎選手に期待がかかる部分も大きいですが、そこは気にせずに あくまで自身が目指すところに進むだけでしょうか。プレッシャーには?
「なってないです。契約してUFCに入って、ベルトを取りにガンガン戦っていく過程の中で、結局フェザー級だけ見たら僕一人だし、その日本人一人っていうのは(1回戦前も後も)あんまり変わってないのかなとも思うんですね」
──どのような試合を見せたいと思ってますか?
「フィニッシュはもちろん狙ってるし、フィニッシュになっちゃうでしょ、っていう感覚はあるんですけど。もちろんカイウェンが打撃の選手なんで、良い打撃ストライカー同士の試合にはなるし、そこで打ち抜いてKOできたらいいなって思ってます。向こうがレスリングで来ても、まあどっかでサブミッションもあると思うし、そこは僕も楽しみです。何でフィニッシュするのか、その時の自分に委ねます」
──日本人にとって、UFCフェザー級は修羅の階級だと思いますが、やっていけるという自信はありますか?
「いやもう、UFC全部修羅っすよ。フライも修羅だしバンタムも修羅だし。修羅ってみんな捉えると思うんですけど、勝っていけば、それがそうじゃないっていう証明にもなると思うんで。まあ逆に世界の頂点、世界のトップがUFCなんで、修羅じゃなきゃ困るし。そういう気持ちでやってますね。そういう高い山であってほしい」
──やはり、そんななかでの倫也選手の勝利は、心強さを感じたでしょうか。
「なんかほんと見せてくれたなっていう。俺もそこまで気負ってはいないんですけど。いやー、なんかすごくいい繋ぎ方をしてくれたなと思ってます。僕もいい勝ち方して、次の仲間にバトンを渡すじゃないけど、こうやって繋いでいく感じにしたいなと思ってるし。日本人を応援してくれる方もやっぱ増えてきて、UFCを認知してくれる人も増えてきたんで。そういう人の人生にとって、少しでもいいパワーになってくれたらなっていう気持ちでいます」
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ROAD TO UFCシーズン4 準決勝 エピソード5&6 計量結果
8月22日(金)中国・上海インドアスタジアム(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)
【エピソード 6】※日本時間21時開始 ※エピソード5は19時開始
▼女子ストロー級 5分5Rシー・ミン(中国)17勝5敗(UFC1勝0敗)116lbs/52.62kgブルーナ・ブラジル(ブラジル)10勝5敗(UFC2勝3敗)115.5lbs/52.39kg
▼フライ級 5分3Rニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)MMA8勝1敗(UFC0勝1敗)126lbs/57.15kgテランス・セイターン(米国)MMA8勝1敗(UFCデビュー)126.5lbs/57.38kg※鶴屋怜は負傷欠場
▼ROAD TO UFC 4 フェザー級トーナメント準決勝 5分3R ※選手名から前戦リー・カイウェン(中国)15勝6敗 145.5ポンド(65.99kg)中村京一郎(日本)6勝1敗 146ポンド(66.22kg)
▼ROAD TO UFC 4 ライト級トーナメント準決勝 5分3Rレン・ヤーウェイ(中国)9勝3敗 155.5lbs/70.53kgキム・サンウク(韓国)12勝3敗 156lbs/70.76kg
▼ROAD TO UFC 4 バンタム級トーナメント準決勝 5分3Rスーラン・ランボ(中国)9勝3敗 135.5lbs/61.46kgシン・カイ・シオン(シンガポール)7勝1敗 135.5lbs/61.46kg
▼ROAD TO UFC 4 ライト級トーナメント準決勝 5分3Rドム・マー・ファン(豪州)7勝2敗 156lbs/70.76kgパク・ジェヒョン(韓国)8勝3敗 155.5lbs/70.53kg
【エピソード5】※日本時間19時開始
▼ROAD TO UFC 4 フライ級トーナメント準決勝 5分3Rアグラリ(中国)13勝1敗 125.5lbs/56.93kgナムスライ・バトバヤル(モンゴル)8勝1敗 125lbs/56.70kg
▼ROAD TO UFC 4 フェザー級トーナメント準決勝 5分3Rユン・チャンミン(韓国)8勝2敗1分 145.5lbs/66.00kgセバスチャン・サレイ(豪州)9勝1敗 145lbs/65.77kg
▼ROAD TO UFC 4 バンタム級トーナメント準決勝 5分3Rギエム・ヴァン・Y(ベトナム)6勝1敗 135lbs/61.24kgローレンス・ルイ(ニュージーランド)6勝1敗 135lbs/61.24kg
▼ROAD TO UFC 4 フライ級トーナメント準決勝 5分3Rイン・シュアイ(中国)18勝5敗 126lbs/57.15kgアーロン・タウ(ニュージーランド)10勝1敗 126lbs/57.15kg
▼非トーナメント ウェルター級 5分3Rキット・キャンベル(豪州)15勝7敗 171lbs/77.56kgチャン・ユンソン(韓国)7勝1敗 170.5lbs/77.34kg