2025年8月2日(土)東京・大田区総合体育館にて『ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2025 TOKYO』が開催された。
セミファイナル(第11試合)のRISE世界スーパーライト級タイトルマッチ3分5R無制限延長Rで、挑戦者・原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)に1Rでダウンを奪われながらも、猛烈な追い上げで判定2-1の逆転勝利を収めた王者チャド・コリンズ(オーストラリア/Stirkeforce)が試合後インタビューに答えた。
コリンズは、逆転勝ちを可能にした無尽蔵のスタミナの理由、そして試合後に原口が訊ねてきたことを明かした。
自分の防御は自分が攻撃すること
――試合を振り返っての感想は?
「まるで戦争のようでした。ファンからのサポートが力になって、2Rから自分が生まれ変わったように4Rを戦い抜きました。試合の始まりは大事ではなく、試合をどう終わらせるのかが大事だと自分の中で思っていました」
――1Rに三日月蹴りからのハイキックでダウンを奪われた時の心境は?
「ハイキックが来ることは予想が出来たのにもらってしまいました。その前にボディへの蹴りがグサッと来ました」
――1Rが終わった後の挽回が出来たのは、ハイキックのダメージがなかったから?
「ダメージはありました。でも説明するのは難しいんですけれど、自分の中で複数のマインドセットがあってそれを変えて戦ったという感じです」
――戦っていて原口が苦しくなっているのは分かった?
「距離感に凄く不安があったんですけれど、もう左の蹴りが完全に当たらないというのはありました。ペッチと戦った時も同じような状況があって、リズムをとるのが難しかったと感じています。トレーナーと目を合わせた時に『いま行っていい?』と聞いたら『いま行け。ここだ』と言われたので、それだけでした。自分の防御は自分が攻撃することだと思っています」
――原口選手と戦った印象は?
「想像通りだったかと言われると、イエスとノー両方とも言えます。サウスポーだと思っていたが試合中にスイッチしていたので、また違った印象でした。彼がオーソドックスでも戦えるのは強いポイントだと思っているし、それは自分も予想できなかったし、それでパンチをもらってしまったということもありました。その戦争の証が自分の顔の左側にあると思います(笑)」
――2Rに自分が反撃に転じた場面を覚えている?
「(1Rが終わったところで)それがコーナーで自分たちがした決断でした。そこで変えようと」
――ダウンのダメージが残る中、試合の流れを変えられたのは何が原動力だった?
「自分の心を信じるだけ、自分の心に従っただけです。2Rから自分の力を振り絞って頑張っていきました」
――5Rが終わった時点で自分の勝利を確信していたか、それとも延長戦を覚悟したか?
「自分の心の中では5Rが終わった時に勝ったと思っていたけれど、ジャッジの判断がどうなのかと緊張がありました。2人が戦うからには勝利と負けが必ずある。実際戦ってる身としては勝利したというのが分かりました」
――あなたの無尽蔵のスタミナはどうやって養ったものなのか?
「僕は中高生の時にフリーダイビングをしていたので、自分の肺がその時に鍛えられたんじゃないかなと思っています。今はキックボクシングのトレーニングで自分を鍛えています」
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原口が「なぜ勝てないのか」と聞いてきた
――今日の試合とペットパノムルン選手との試合ではどちらがキツかった?
「今日の試合はペッチとの試合に近いと思います。でもペッチとの戦いの方がキツかったと思います。身体面で疲れて、自分のガスタンクの中に何も残っていなかった感じを今も覚えています。2人とも凄い疲れていたので、コーナーへ戻った時にもう一度リング中央に戻ってこようという気持ちがなかったんじゃないかということを覚えています。今夜の試合も似ていましたが、戦略を少し変えられたかなと思っています。今日はただ行こうとしか考えてなかったんですが、もっと戦略を考えられたかなと思います」
――1Rは自分自身ではなかったかのようだったということだが、その理由は?
「ゲームの戦略を考えていたんですけれど、原口の戦い方で実際にやってみて変えてみた部分もあったからです。1Rは自分のタイミングを見つけるのが大変だったので、一度振り返ろうと思いました。今日の戦いは自分にとって学びがたくさんあったと思っています。自分がどういう選手なのかを再確認できたと思っています」
――次の試合(8月23日・オーストラリア)までの調整はどのように考えている?
「次の試合まであと21日です。早く回復させるためにも今アイシングとかいろいろしていて、次の水曜日にはランニングとかからトレーニングを始めます(※報道陣からどよめきが起こった)。1週間後には強度の高い苦しいトレーニングをして準備していきたいと思っています。今日の試合が何でもなかったかのように、次の試合へ向かって準備します。トレーニングは好きじゃないけれど、戦うことが好きなんです。トレーニングをどうやろうかということよりも、戦いが好きです」
――11月からトーナメントがあるが、原口選手とそこでもう一度戦いたいという気持ちはある?
「ここにくる前にも原口と話をしました。自分たちがRISEサイドのファイナルでやるのは、凄く面白いんじゃないかなと思っています。原口選手にコングラチュレーションと言いたいことがあって。今日までの間、彼は凄く成長してきました。戦ってみてそれが凄く分かったし、自分に『なぜ勝てないのか、何が自分に必要なのか』と聞いてきたんですね。自分が負けた相手選手にそんなことを聞けるなんて、彼への尊敬の気持ちでいっぱいです。彼は心肺能力を上げるために、体力をつけるためにもフリーダイビングやスピアフィッシング(水中スポーツのひとつで素潜りで銛や水中銃を使って魚類を捕らえる)をやって持久力をつけるのもいいんじゃないかと思います」
――最後にファンへメッセージを。
「日本へ来るたびにファンが増えたと感じます。日本は愛している国でもあるし、毎回来るたびにロックスターのように自分を受け入れてくれているように感じるので感謝の気持ちでいっぱいです。SNSで愛のメッセージをいつもくれるんですけれど、この後も待っています。オーストラリア出身だけれどそれは関係なく、これからも日本で戦っていきたいので応援よろしくお願いします」