2025年7月12日(土)にタイの首都ルンピニースタジアムで開催される『ONE Fight Night 33』(U-NEXT配信)の女子アトム級MMAで、マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)と対戦する同級5位の澤田千優(日本)がONE公式のインタビューに現在の心境を語った。
▼ONE女子アトム級(※52.2kg)5分3R澤田千優(日本/TEAM AKATSUKI)8勝1敗1分マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)4勝1敗
ONE女子アトム級MMA5位の澤田は、MMA8勝1敗1分。レスリングで2018年東日本学生選手権フリースタイル50kg級優勝、全日本社会人選手権優勝、全日本選手権5位などの実績を持つ。2021年5月に修斗でプロMMAデビュー。リーグ戦で優勝するなど3勝1分で初代女子アトム級王者に輝いた。
2023年2月にタイで行われた『ONE Friday Fights 5』でイランのサナーズ・ファイアズマネシュを相手に2R アメリカーナで一本勝ちすると、チーム・オーヤマでの北米修行も経て、5月に米国フロリダ州マイアミ開催の『Combat Global』でアナ・パラシオス(メキシコ)にテイクダウン&パウンドで判定勝ち。
2024年3月のONE2戦目でジヒン・ラズワンに120ポンド キャッチウェイトで判定勝ちすると、5月には柔道ベースのノエル・グランジャンにも判定勝ちでONE3連勝をマークし、女子アトム級MMA3位にまで駆け上がったが、2025年1月の前戦で中国のメン・ボーに判定負け。初黒星を喫している。
7月の再起戦の相手のマカレナ・アラゴンは柔道ベースでMMA4勝1敗。2024年11月のONEデビュー戦で三浦彩佳に一本負け。2025年4月の前戦では、ONEアトム級(※52.2kg)の試合で54.4kgの大幅体重超過。キャッチウェイト戦でジヒン・ラズワンに判定勝ちしている。
前蹴りから圧力をかけて組むアラゴン。グラップラーでも組みが異なる両者。再び上位を目指す澤田にとっては、ランキング外のアラゴンに負けられない試合となる。試合に向け、澤田は「先手を打って、相手に出させない展開に」と語った。
得意な展開に持っていくために──
──前回のメン・ボー戦を振り返ってください。
「メン・ボー戦は、ストライカーvs.レスラーという形で自分自身だけでなく周囲からも見られていたので、その分レスリングをやり切らないといけないという気持ちで取り組んでいました。実際、試合をやってみて思っていた以上に自分の形が通用せず、相手が対策をしっかりやっていて、やられてしまって。いい面も悪い面も、悪い面が多いんですけど、すごい勉強になった試合です。自分のレスリングがやり切れなかったのは凄く悔しかったので、悔しい分、いい経験になったと思います」
──澤田選手はタックルからテイクダウン、トップコントロールしながらパウンド、もしくはサブミッションを極めるのが、必勝パターンかと思いますが、メン・ボー戦はどの様な試合展開のイメージで挑んだのですか?
「作戦的には、最初から打撃からタックル、テイクダウンを取り切って、トップ取ってというイメージは1ラウンド目からしていました。でも、1ラウンド目が作戦通り行かなかったので、自分の中で作戦通りに行かなければいけないという焦りもあって、2ランド目以降もテイクダウンをすごい狙いに行って、3ラウンドを使い切った感じになりました」
──確かに、今まで以上にテイクダウンを取りに行く姿勢が感じられましたが、メン・ボーのテイクダウンディフェンスは固かったですか?
「そうですね。構えの形にしてもそうでした。常にアッパーを狙って、構え自体がディフェンスに徹していたので、メン・ボー選手自体が攻めに転ずる形ではなくて、全部ディフェンスした感じで、それがひしひし伝わっていて。その中で、自分が飛び込んだ時に、相手のパンチが来るなっていうのとか、そのヒリヒリする感じだったりとかを対峙してみて、プレッシャーだったりとか、打撃の圧だったりを感じました」
──その中で自身のパフォーマンスで良かった点、手応えを感じた部分は?
「試合前にイメージしていたのが、相手のスタンド打撃を一発でも貰ったら効いてしまう、一発でも貰ったらヤバイと考えながら練習をして、その打撃に一歩も下がらなかったこと。グラウンド状態でパンチをもらってしまったんですけど、パウンドですごい殴られちゃったんですけど、スタンド状態でクリーンヒットでパンチもらうってことはなかった。逆にスタンドでパンチを自分が当てたのを少し感じたので、スタンドでの打撃の展開は自分が思っていた以上に出せたかなと思います。その一方でもう少しスタンドで見せられないと今後キツイよなっていうのは反省としてありました」
──メン・ボー選手、左目下をかなり大きく腫らしていましたよね。
「そうですね。私はおでこが腫れちゃったんですけど、彼女の顔の方が私より腫れていました。多分、グラウンドで下から私がヒジを出した時に当たって、2ラウンド目あたりにもう目が腫れていました」
──結果は惜しくも敗戦となりますが、次に繋がる手応えや課題も見つかった試合だったのですね。そこから約半年が経ちましたが、今はどの部分を強化できていると感じますか?
「トータル的に自分の得意な部分を活かすMMAの練習をしてきたので、前戦以上に、いかに自分の得意な展開に持っていけるかっていう、スタンドでの打撃だったり、強化してきた部分をしっかり出していきたいです」
──これまでの話を伺っていると、スタンド打撃にかなり自信がついた印象があります。自身の戦い方が、これまでのレスラーという戦いから、トータルなMMAファイトに移行している実感はありますか?
「実感は試合を通してじゃないと。いかに練習とかで出せても、試合で出せなかったら意味がないので。そのための試合だと感じます。今回の試合で、そのMMAのレスリング、トータルスキルが上がっているところを見せられるように、自分でも実感するために、しっかりとやることやって勝ちに行かなければいけないと思っています。勝たない限りはその実感は湧かないです」
──そういう意味では、今回の試合は自分の成長の実感だったり、それを証明する機会になる訳ですね。
「そうですね」
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伊澤星花と練習「極め技を持っている選手はそれだけで脅威」
(C)chihirosawada_
──澤田選手のインスタに伊澤星花選手との練習様子が公開されていました。彼女とはよく練習していますか?
「去年ぐらいからずっと一緒に練習してもらっています。結構な頻度で一緒に練習させてもらっています」
──一緒に練習するきっかけは何だったのですか?
「元々は、藤野恵実選手と練習をする仲で、JTTでその他の女子選手と一緒に練習したりするのですが、伊澤選手もそこで練習する様になりました。一緒に練習していたら、割と練習の感覚だったりとか、フィーリングじゃないですけど、やっている感じがお互いに良かったので、週に3、4回ぐらい一緒に練習しています」
──伊澤選手との練習で影響を受けたり、もしくは影響を与えたり、何か変化した部分はありましたか?
「私はレスリングが強みなので、伊澤さん的にはレスリングがしっかりできる相手選手がなかなかいないので、練習をやってくれて勉強になりますみたいな感じで言ってくれています。多分、私はそれよりも得ているものが多いですが。伊澤選手はスタンドでの打撃もしっかり出来る上手い選手。あと寝技が一番の武器だと思うので、そういった極めの部分であったりとか。極めに行くまでのアプローチの部分だったりとか。映像を見ただけでは伝わり切れない部分などのプラスアルファも教えてくれるので、私は感謝しています」
──澤田選手が伊澤選手得意のチョーク系の極めをバンバン出すと面白いですね。
「面白いですよね。1個極め技を持っている選手はそれだけで脅威なので、そういった部分を私も身につけていかないとと思っています」
──もしかしてそれは、今回の試合での一本勝ち宣言ですか?
「一本勝ちはもう狙っています」
──今回の対戦相手マカレナ・アラゴンの印象は?
「ONEでは2試合出場していて、試合を見ると、前に出てくるタイプ。柔道ベースで身体が強く、腰もしっかり強い印象です」
──特に警戒している点は?
「腰の強さだったり力が強いと思うので、多分1発目のタックルだと切られてしまう可能性があると思います。あとはパンチもテクニックというより、重たいパンチを振ってくる可能性もあると思うので、そういったパンチを貰わないようにしっかり注意したいです。自分から先手を打って、相手に出させない展開にしなければいけないです。相手のペースに持って行かれてはダメだと感じています」
──アラゴン選手は、敗れはしましたが、初戦の三浦彩佳戦もインパクトを残し戦いを見せましたし、その後にジヒン・ラズワンに勝っていますよね。
「ジヒン選手はリーチも長いし身体も大きい選手。その自分より一回り大きい相手にパワーだったり、スピードで勝った選手なので、そこも警戒すべき点です」
──今の女子アトム級MMAのトップ戦線は、メン・ボー、三浦、王者のザンボアンガ選手などストローから落として活躍している選手が目立ちます。単純にフィジカルの強さが考えられますが、澤田選手はこのような選手達にどう立ち向かいますか?
「私は体が大きい方ではないので、細かいテクニックの部分だったり、打撃だったり、レスリング力は、あの階級の中でも抜けていると思うので、そこは引き続き強化します。あとはベースのフィジカルの部分だったり、フレームでは負けない内面のインナーの部分だったりは強化していかなきゃいけないなと思います。前回の試合で極め力もつけないといけないと感じました」
──この試合の後、誰と戦いたいですか?
「上位ランカーと戦いたい部分はありますが、言ったもん勝ちみたいなところもあるので、ザンボアンガ選手とやりたいと試合で勝ったら言ってもいいのかなと思います」
──11月の日本大会開催の発表がありましたが、どのような気持ちですか?
「3月大会に出る可能性はあったのですが、直前で流れてしまって。もしかしたら出るかもしれないっていう感じだったので、11月の大会はナンバー大会でもあるので、出れるなら是非出たいと思っています」
──最後にファンへメッセージをお願いいたします。
「いつも応援してくれているファンの皆さん、ありがとうございます。半年ぶりの試合なんですけど、しっかりいい勝ち方してインパクトを与えます。トップに駆け上がっていくので、応援よろしくお願いします」