2024年4月6日(土)東京・新宿FACEにて開催されるJAPAN KICKBOXING INNOVATION主催『RESISTANCE-15』の全対戦カードが発表された。
メインイベントはINNOVATIONフェザー級(57.15kg)王座決定戦3分5R延長1Rとして、同級1位・元山祐希(武勇会)と前田大尊(マイウェイジム)が対戦。
元山は2014年8月31日にプロデビュー。INNOVATIONや岡山ジム主催興行、チャクリキジャパンなどで活躍。2023年11月にM1スーパーフェザー級王座を獲得している。前戦は2024年2月に佐野貴信から勝利を収めている。戦績は17勝(4KO)9敗2分の33歳。
前田は小学1年生でキックボクシングを始め、アマチュアで4冠王に。プロでは2023年7月に一航からハイキックでダウンを奪っての勝利で名を挙げ、2024年2月にはWBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王座決定戦も行っている(判定負け)。戦績は7勝(1KO)2敗の18歳。
第6試合から第9試合はジム対抗戦として、櫻田直人(芦原会館夷隅支部)vs.風間祐哉(WSR三ノ輪)、井ノ本航希(LAILAPS東京北星ジム)vs.吉角綾真(マイウェイジム)、夢叶(エムトーンジム)vs.佐野澪(マイウェイジム)、藤平泰地(花澤ジム)vs.本多樹(ReBORN経堂)が行われる。
また、第1試合から第5試合はジュニアの「SMASHERS」のタイトルマッチが行われる。
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元山祐希インタビュー「いつものように前に出続けて圧勝」
――昨年から行われてきたINNOVATIONフェザー級王座決定トーナメント、決勝に勝ち残った元山選手と前田選手がタイトルマッチで決勝戦との構図です。
「やっとできたって感じですね」
――昨年4月30日の遊羅戦から4連勝と絶好調の元山選手、前試合は、2月12日、後楽園ホールのRWS(ラジャダムナンワールドシリーズ)日本興行で佐野貴信選手相手にユナニマスデシジョン(判定3-0)の快勝でした。
「吉成名高選手がメインのRWSジャパン旗揚げ戦の第1試合、一発目で勝つことができて光栄でした。佐野選手は、WMC日本王者で強かったですが、練習してきたことができて、作戦もはまった感じで」
――それ以前は、11月19日、大分県、KODOでYUZUKI BRAVELY選手に回転バック肘打ちの大技で見事3ラウンドTKO勝利、10月1日、茨城県、AROUSALでNJKFとの対抗戦ランカー対決、TAKAYUKI選手に判定勝ち、そして、前述の遊羅選手に3ラウンド、肘打ちでKO勝ちの4勝2KO、この快進撃の理由は?
「今まで色んな階級でやってきて、やっと適正体重で戦うようになって、自分のイメージと身体機能がアジャストしてきたんじゃないですかね」
――33歳のベテランにして成長中?
「常に進化し続けていますよ」
――そして、これまで爪にまでかけて巻けずにいたINNOVATION王座のベルトに王手です。
「流れとして僕が獲るしかないですね」
――対する前田大尊選手については?
「若くて、勢いがあって、強いしかないでしょう」
――そんな前田選手にどう戦いますか?
「いつものように前に出続けて圧勝です。オールラウンダーな相手ですが、どんな形になっても自分のペースにはめ込みます」
――前田選手は、若さと勢いもさることながら、7月23日、NJKFの代表選手格、一航選手にダウンを奪っての判定勝ち、大金星を17歳で上げました。
「リングが地元ですよね? それじゃあ価値半減だなぁ。敵地か中立の舞台じゃないと。大したものではありますが、それじゃ僕は動揺しません」
――33歳のベテラン強豪と18歳の新鋭、わかりやすい世代抗争の構図です。
「おっさんを舐めんなよ!(笑)」
――このベストを巻いた後の構想は?
「KNOCK OUTに出たいです」
――先日(3月29日)には、ONEのバンコク、ルンピニースタジアム興行で同じ武勇会の同僚、紀州のマルちゃんが登場し、ダウンを奪い合う大激闘をしてのけました(結果は3RKO負け)。
「ONEでもRISEでもどこにだって、ここで勝てばなるようになるでしょう」
――年齢的な限界は、まだ感じませんか?
「ここ最近は、いつ終わってもいい覚悟でリングに上がっています」
――……。
「限界を感じたら終わりです。試合に負けても悔しくなかったら、それが限界でしょう」
――強い覚悟を感じます。
「ここ最近は、ブレイキングダウンで乱闘して目立ったり、平本蓮選手がSNSを駆使して色んなトリックを仕掛けたり、皆が色々な工夫をしてお客さんを楽しませているじゃないですか。プロだなと。どんな方法でも面白くしてなんぼです。平本選手は凄いなと思います」
――ともすれば、競技とは真反対のエンタメ路線、硬派なイメージの元山選手からすると意外な評価です。
「頭が良くないから僕にはあれはできないし、乱闘も罵倒もしません。だから戦う姿から気持ちが伝えられたらなと」
――それこそが王道です。
「僕の試合を見て、何か感じてくれれば嬉しいなと。魅せますよ!」
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前田大尊インタビュー「ハートの部分だけは俺も負けません」
――昨年から行われてきたINNOVATIONフェザー級王座決定トーナメント、決勝に勝ち残った前田選手と元山選手がタイトルマッチで決勝戦との構図です。
「準決勝戦からすぐに決勝戦ができなかったのは『マジかよ!?』とは思いましたが、結果的には、その間、有意義な経験が積めて成長できたので良かったなと」
――とにかく、7月23日、NJKFの代表選手格、一航選手にダウンを奪っての判定勝ちの大金星を上げられたことには驚きました。
「狙った左ハイキックが直撃してダウンを取れたので勝ちはしましたが、試合内容は負けたと同然と思う反省があるので『試合に勝って勝負に負けた』感がありながら、本当に良い経験でした」
――元山選手との決勝戦を前に格的には遥かに上の相手と地元でメインイベント。そのプレッシャーたるや相当のものだったのでは?
「お話をいただいた時には『おいしい!』しかなったです。けど、試合1週間前に40度を超える高熱が出てピンチで、あれには参りました」
――1週間前に40度オーバー? よくリングに上がって、しかも勝つことができましたね。
「体調は最悪で、不安しかなったですけど、沢山の方にチケットを買っていただいて、これだけのチャンスだし、欠場って選択はなかったです」
――ジムの会長やトレーナーは反対されたのでは?
「ジムに行くこともできない状態でしたから『熱が出て』とだけ報告して何とか治さねばって。言うと欠場となることは間違いないですから、そこは誤魔化しました。今だから言えますが、すみませんでした」
――そんな中で掴んだ金星、その次は、2月11日、本来ならイノベーション王者になってから挑戦権が得られるはずのWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦でJyosei選手とベルトを争い、結果、残念ながら判定負けとはなりましたが、驚くべきジャンプアップです。
「悔しかったです。力が出せずに1ラウンドからカーフキックをもらって攻めあぐねてしまいました。初の5回戦でしたが、練習をやりこんで自信はあったのですが」
――それにしても17歳で一航選手を撃破して、18歳でWBCムエタイ日本王座へ挑戦とは、凄まじい進撃具合です。
「今回の試合(タイトルマッチなので5回戦)の為には、良い経験だったなと前向きに捉えています」
――階級もスーパーバンタム級(55.34kg)に下がってからフェザー級(57.15kg)に戻ってきた形です。
「もう身体が大きくなってスーパーバンタム級は無理ですね。今はフェザー級こそがベストです」
――そんな紆余曲折を経て迎える元山戦、相手の印象は?
「“歴戦のつわもの”って感じですよね。まだ新人の域を出ない自分にはないものを持っていると思います。それは色々な経験だったり、気持ちの強さだったりするんでしょうけど、ハートの部分だけは、俺も負けません」
――どんな試合展開になりそうですか?
「自分はオールラウンダーを自認していますけど、この1年でレパートリーも増えたし、骨太く成長できました。例えば、Jyosei戦では、カーフをやられましたが、もう効かないし、逆に身に着けることもできたかもしれません」
――また新たな前田選手が見られそうです。
「常に『自分に何ができるのか?』『足りないのか?』など意識して、目的を明確にして練習していますから、日々進化しています。その意味でタイトルマッチが1年延びたのは、良かったと思っています」
――このベルトを奪取したその後の展望は?
「RISEチャンピオンになりたいです」
――RISEフェザー級は、イノベーション出身の安本晴翔選手をはじめ層の厚さが凄まじくハイレベルとなっています。
「ヤバいですよね。面白い。楽しみです! ここから勝ち抜いて、ONEとか海外にも乗り込むことを考えると、今からワクワクします」
――その為にもこの試合は必勝を期す?
「今、平本蓮選手がRIZINで朝倉未来選手をSNSで煽りまくったり、ブレイキングダウンでやたら乱闘したり、目立つ為ならなんでもありみたいな格闘技界になっていますけど、俺は、那須川天心選手や武尊選手のような正統派でやり抜いて、純粋な強さと試合内容で皆を惹きつけて遥かてっぺんまで駆け上がりますので、応援、よろしくお願いします」