龍聖を中央に、左がトレーナーのノップ、右がHIROYA
2019年8月10日(土)東京・後楽園ホール『REBELS.62』の第1試合で、渉生(=しょうい/アントジム)と対戦する龍聖(TRY HARD GYM)。
TRY HARD GYMがREBELSに初参戦。HIROYA代表代行が自信を持って送り込むのは18歳の高校3年生、龍聖である。まだプロ2戦目ながら、7月13日の大会1カ月前会見では「倒したい相手がいる。ポエマーです」と同じフェザー級の栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)を挑発する度胸を見せた。龍聖とは一体、どんな選手なのか。そして、REBELSに旋風を巻き起こすのか。(文・撮影 茂田浩司)
HIROYAと大雅の影響でプロ志望に「スーパースターを見てて『こっちに行きたい!』」
龍聖がキックを始めたのは小学1年生。K-1が大好きだった父親の影響だった。
龍聖「ちょうどHIROYAさんがK-1甲子園で優勝した頃にキックを本格的に始めたんです。まだTRY HARD GYMはできてなくて、近くのジムに入って。そのころ、一緒に写真を撮ったんですよ」
HIROYA「ディファ有明だったかな。大雅がアマチュアか何かに出て、僕が付き添いで行ってて、小学生の龍聖と写真を撮ったんです」
小3から3年間は、サッカーと並行してキックをやっていたが、TRY HARD GYMに移籍してからキックにのめり込んだ。
龍聖「トライハードに入門したのは、小6か中1だった気がします。子供のころは憧れた選手もいなかったけど、HIROYAさん、大雅さんたちスーパースターを近くで見てたら、こっちに行きたくなるじゃないですか(笑)」
HIROYA「小さいころから『上手いな』と思ってましたけど、こっちに来てから体が一気にデカくなって、どんどん強くなったんです」
龍聖「他のジムでは『新しく入ってきたら、最初にボコボコにして』みたいのがあると聞きますけど、トライハードはHIROYAさんもノップ(トレーナー)も『そういうのは良くない』という考えで、そういうことはないです。
よく覚えてるのは、大雅さんに遊んで貰ってたんです。大雅さんは手を出さず、俺が一方的に打ってて、全然当たらないんですけど、やってるうちに何かを掴んだんですよ。ジュニアのころはパンチが当たらない、蹴りしか蹴れない感じだったのが、勝手にパンチも当たるようになってきて」
TRY HARD GYMでは、元ムエタイ王者のノップトレーナーの指示のもと、HIROYA、大雅、松倉信太郎、堀尾竜司ら所属のプロ選手や、出稽古に来るプロ選手たちに揉まれて、龍聖は急速に実力を伸ばしていく。
HIROYA「龍聖は頭が良くて、吸収するのがものすごく早いです。大雅や松倉とか自分より実力が上の選手と一緒に練習してても、引かないで、いろいろと試しながらやってるんですよ。だから、自分の技術が身につくし、向上していく。あと、いい意味で『ムエタイかぶれ』じゃないけど、ノップの言うことをよく聞いて、すぐできるようになったり。去年の夏はタイに3週間合宿しに行って、もともとできなかった首相撲の基本を覚えて、帰ってきたらできるようになってたんです。今は(緑川)創さんとやっても、そんなに負けないぐらいできますよ」
龍聖「人間性も変わりました(笑)。TRY HARD GYMに入る前、ジュニアでも結構試合してるんですけど、同じ階級の中では背が高かったんですけど体がすごく弱くて、首相撲でぶん投げられたり、試合前から気持ちで負けたり(苦笑)。小さいころはいじめられることもあったし。でも、今は体も強くなって、組んでも負けないし、負けん気も(笑)」
HIROYA「気の荒さはすごく大雅と似てるんですよ」
4月のプロデビュー戦は3RでKO勝利を収めたものの、持ち前の気性の激しさが試合中に出てしまった、という。
龍聖「『俺、何やってるんだろう?』みたいな感じでした(苦笑)。自分のスタイルじゃない『殺す!』みたいなことしか考えられなくなってて、いつもの自分と真逆な感じで空回りして(苦笑)」
HIROYA「試合で感情を出すことはいいんだけど、冷静にコントロールしながら出せたら最高なんだけどね。この前の龍聖は、感情的になって、大振りになって。そうなると穴も出てくるし」
龍聖「あの後、ずっとノップにいじられて(苦笑)。自分は、大雅さんみたいな元々持ってる野性的な、ババババーン、っていうタイプじゃないんですよ。HIROYAさんみたいに、しっかりと相手を見て、テクニックで戦っていくタイプなんです」
HIROYA「いくら感情的になっても、ノップがいつも言っている基本的なことさえ忘れずにやれたら間違いないよ」