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【GLORY】“欧州の巨人”がアンチドーピングに動いた! GLORYが新たに「世界中で抜き打ち検査」「結果公表」「罰則」導入を発表

2023/08/22 11:08
 GLORYが2023年8月22日、「アンチ・ドーピング・プログラムを強化し、選手の健康と安全をさらに守り、公正な競技を保証するために、いくつかの新しいイニシアチブを取る」ことを発表した。  これまでもGLORYはITA(International Testing Agency=国際検査機関)を通じて、ドーピングを防ぐために「長年GLORYの各大会で競技会内検査を行ってきた」が、今後は「無通告での競技会外検査プログラム」の第一段階をスタートする。  新ルールのユニークな条項のひとつは、アンチ・ドーピング・ルール違反が発覚したファイターに対して、GLORYが勝敗を覆すことができることだ。  これはドーピングの抑止力を高めるだけでなく、「ドーピングをしていた選手と対戦して敗れた選手には、プロとしての記録と勝利ボーナスを受け取る資格を与える」というもの。また、GLORYは「ファイトマネー全額の没収」や「罰金」など、多額の金銭的ペナルティを課す権限も持っている。  また、今後はいわゆる「抜き打ち検査」も、国内外問わず、行っていくという。 「GLORYがイベントを開催する場所や選手が生活しトレーニングする場所に関係なく、世界中でGLORYのサンプル採取を促進していく。すべての検査とサンプル採取は、世界アンチ・ドーピング機構(「WADA」)の検査と調査に関する国際基準に準拠して実施され、サンプルは引き続きWADA認定ラボで分析される。GLORYは、アスリートを管轄し該当する規制当局と協力・連携していく」。  さらに、プログラムの透明性をさらに高めるために、「独立したアンチドーピングの専門家で構成されるパネルが、結果管理と違反の裁定を監督」する。またその結果を、「GLORYはすべてのアンチ・ドーピング制裁を公に発表」し、各選手の検査履歴の公開データベースを管理するという(※公式HP「Anti-Doping Program」)。  その一環として、アンチ・ドーピングの弁護士であり、世界的に有名な業界の専門家であるナディア・シルクをプログラムの開発と実行を監督するために起用した。シルクは、USADAでUFCのアンチ・ドーピング・プログラムを開発・監督していた実績を持ち、GLORYではアスリート・セーフティ&レギュラトリー・アフェアーズ担当シニア・ヴァイス・プレジデントを務める。  GLORYは、「このアンチ・ドーピング・プログラムは、すでに世界の格闘技界をリードするプログラムのひとつで、これらの強化により、GLORYは格闘技におけるアンチ・ドーピングの取り組みにおいて、世界のリーダー的存在であることをさらに証明する」とする。  GLORYの共同設立者であり、エグゼクティブ・バイス・チェアマンのスコット・ルドマンは、「全てのファイターが安全で、公平な土俵で戦えるよう、アンチ・ドーピング・プログラムの拡大とナディア・シルクの採用を発表できることを嬉しく思います。  ナディア・シルクは以前USADAでUFCのアンチ・ドーピング・プログラムを開発、監督していました。彼女はGLORYに、このテーマに関する深い技術的知識、高度なアンチ・ドーピング・プログラムの運営における実際の実務経験、そして世界中の管轄区域におけるアンチ・ドーピング組織との交流における豊富な経験をもたらしてくれます。彼女は間違いなく、今日の格闘技におけるアンチ・ドーピングの世界的なトップ・エキスパートの一人である。アンチ・ドーピング・プログラムの強化に加え、彼女をGLORYに迎えることで、私たちは格闘技の完全性を守るという使命にさらに前進し、この分野における世界的リーダーとしての地位を確固たるものにすることができます」とのコメントを発表している。  さらに、GLORYは、世界アンチ・ドーピング規程(「規程」)をモデルとした「アンチ・ドーピング規程の更なる更新」を間もなく発表する予定で、「GLORYのアンチ・ドーピング規則は、すべての禁止物質を定めたWADAの禁止リストを組み込んでおり、最新の状態に保つためにWADAによって毎年更新されている。GLORYの既存のルールは、コンバット・スポーツの現実により適合するようにさらにカスタマイズされる。例えば、元々4年間の競技サイクルを持つオリンピック・ムーブメントのためにデザインされた規約では、ドーピング違反に対する制裁は2年と4年がデフォルトとなっているが、GLORYの規則では、違反の内容によって、制裁期間は1年と2年がデフォルトとなっている」と記した。  長く米国のアスレチック・コミッションほど厳しい組織が存在しなかったオランダなど欧州では、ドーピングに関する疑惑が絶えなかったが、今回のGLORYの声明通りになれば、大きな抑止力になることは間違いない。  WADA基準による「抜き打ち検査」「結果公表」「罰則」のセットを「独立したパネル」によって行うことは、アンチドーピングに大きなリソースと資金を割くことになるが、それを持ってしても、ファイトスポーツとして「格闘技の完全性を守るという使命にさらに前進し、この分野における世界的リーダーとしての地位を確固たるものにする」ために、GLORYは今回の新たなアンチ・ドーピング・プログラムの導入に踏み切ったといえる。 ◆ITAとは? 国際検査機構(ITA)は、スイスに設立された独立非営利団体。ITAは、国際競技連盟、主要イベント主催者、および国際スポーツの完全性と世界中のアスリートの健康を守るための支援や協力を要請するその他の組織に対して、独立した専門家によるクリーン・スポーツ・プログラムを提供している。国際オリンピック委員会(IOC)の主導のもと2018年に設立されたITAは、今日60以上のスポーツ団体のアンチ・ドーピング・プログラムを主導しており、ユネスコからクリーンスポーツの保護における主要組織として認められている。2023年3月には、日本の公益財団法人「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」と連携協力を拡大し強化する協定を締結している。
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