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【GLADIATOR】フェザー級T2試合も大接戦! PANCRASEで涙飲んだジェヒョクが河名マストに勝利、生え抜きチハヤフルがナラントンガラグ弟子に肉薄

2023/06/13 19:06
 2023年6月11日(日)大阪・176boxにて『BODYMAKER presents GLADIATOR 022』が開催された。王者が参戦したバンタム級GPに並び、現在空位のフェザー級では4人制のトーナメントが行われた。  GLADIATORフェザー級王座は、1月大会でチョ・ソンビンが中川皓貴を破りベルトを獲得も、ソンビンがPFL2023年シーズン参戦のために王座を返上。空位となった同級王座を4選手が争う。  6月11日大会で準決勝2試合、10月1日の『GLADIATOR 023』で決勝戦=王座決定戦が組まれる予定で、その王座決定トーナメントには、GLADIATORのケージで猛威を振るう韓国&モンゴル勢が来日。日本勢が迎え打つこととなった。 ▼第14試合 GLADIATORフェザー級王座決定トーナメント準決勝 5分3R〇パン・ジェヒョク(KOREAN TOP TEAM/韓国)[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×河名マスト(ロータス世田谷)※ジェヒョクが決勝進出  韓国から参戦するのは、PANCRASEで激闘を繰り広げて来たパン・ジェヒョク。  2022年12月のPANCARSEでフェザー級王者の透暉鷹に、2023年4月に亀井晨佑に、いずれもスプリット判定で敗れたジェヒョクは、強い打撃とテイクダウンディフェンスで透暉鷹を苦しめ、左で亀井の腰を落としている。  捲土重来、GLADIATORでのベルト奪取に向け所属するKTTで最スタートを切ったジェヒョクは、「PANCRASEで2連敗中にもかかわらず、今回GLADIATORのフェザー級王座決定トーナメントに参戦できるチャンスを与えてくれたことに感謝の気持ちを伝えたいです。  自分が出来る最高の試合で盛り上げることが、恩返しだと思っています。今回のGLADIATOR初陣では必ず相手を仕留めてみせます。実際、PANCRASEでの2試合とも自分の勝ちだと思っています。だからこそGLADIATORの皆さんも、自分にこの大きなチャンスをくれたと理解しています。  透暉鷹選手には2-1、亀井選手には3-0で勝ったと思っています。透暉鷹選手との再戦が決まったと思っていましたが、亀井選手と試合をすることになりました。あの試合では有効打撃、ダメージともに自分でした。なぜ、あのような結果になったのか未だに理解できないです。GLADIATORのベルトを獲った後で、透暉鷹選手と亀井選手にはリベンジをしたいと思っています」と、PANCRASEでの2戦は負けていないと主張。  また、今回戦う河名マストについて「日本のグレコローマンレスリンクのエリートだと聞いています。試合映像をチェックしましたが、それだけのことはあって力も相当あるし、打たれ強い良い選手だと思います。残念なのは、自分のように派手なファイトで観客を盛り上げる能力が足りません。なので、彼を相手にしてどうすれば観客の皆さんが盛り上がるのかを教えてあげます。  本来、自分は派手で面白い試合をしようとしてきていましたが、最近は勝ちに拘り良い結果を残せなかったです。なので、河名選手との試合では過去最高レベルで積極的にフィニッシュを狙うつもりです。出来る限り、面白い試合をしてベルト取ります」と、河名を実力者と認めつつも、「観客を盛り上げる能力が足りない」とした。  対する河名は、グレコローマンレスリングU23世界王者からMMAに転向。2年2カ月で6勝2敗のMMA戦績を残してきた。2022年8月に北米LFAに挑戦し、アライア・ジョンズに判定負けも、11月にはFighig NEXUSで寿希也との激闘を2R終了時 TKOで勝利している。  目標とするUFC出場に向け、今回のトーナメントを勝ち上がり、GLADIATORのベルトを海外への通行手形とするか。GLADIATORでは、2022年6月にPROGRESS提供のグラップリング戦に出場しており、森戸新士から判定2-1で勝利。  MMAでGLADIATOR初参戦に向け、主催者を通じて「自分のためのトーナメントだと思っています。勝ちます」と、フェザー級のベルトを掴む意気込みを語っている。元グレコ王者と、韓国のキック団体KBAのチャンピオンの総合力が問われる準決勝だ。  試合前の放送席からは、今回のフェザー級(65.8kg)王座決定トーナメントが「タイトル戦に直結する試合のため、リミットから+450gは認められない」との説明をジェヒョク陣営のみが聞かされていたことをアナウンス。  実際には+450g規定が適用されており、前日計量で河名は66.10kgと+450gの許容範囲内でパス、ジェヒョクは65.55kgとリミットよりアンダーでパスしている。主催がジェヒョク陣営に謝罪し、試合は行われることとなった。  1R、ともにオーソドックス構え。ゴングと同時に前に出たジェヒョクはオーソからワンツー。左回りにサークリングする河名は、左ジャブのダブルを突く。ジェヒョクのジャブの打ち終わりに河名は前足にシングルレッグへ。  ジェヒョクの左足を持ち上げてテイクダウンを狙う河名に、ジェヒョクはバランスを残った軸足を払いに行くが、その瞬間ジャンプして片足立ちで残すジェヒョク。左ジャブを突くが、そこに右カーフは河名。ジェヒョクも右ローを返す。左フックで飛び込む河名にカウンターの右はジェヒョク! 回る河名に右のサイドキックも。  なおも組む河名はダブルレッグから二本脇差し。ジェヒョクをまたボディロックからまたぐように押し倒してテイクダウン。背中を見せて立つジェヒョクに、河名は押し込みヒザもジェヒョクはケージを背に凌ぐと体を入れ変え離れる。  左ミドルを当てるジェヒョク。河名の左前手フックをかわして離れると、弓を射るポーズからワンツーの右をヒット! 圧力をかけ直す河名は右ロー。すぐにジェヒョクも前足に左右のローを返す。  右ボディストレートを突くジェヒョク。右前蹴りも。遠間から左のダブルで飛び込み組む河名。右で小手に巻いて組むも、ヒザ打つ河名を突き放すジェヒョクは前に踏み込んでワンツー。かわした河名はボディロックから回してテイクダウン! 亀からすぐに立つジェヒョクは離れる。  右ローを当てるジェヒョク。追う河名も右ストレートを頬に届かせる。河名の左の蹴りをジェヒョクが掴んでバランスを崩してゴング。  2R、左ジャブのダブルで前に出る河名。前足を取るフェイントから打撃、さらに詰めてシングルレッグもすぐに足を抜くジェヒョク。再びシングルレッグも足を抜き、近距離で右ヒジはジェヒョク。河名も右ヒジを返すが、その局面でジェヒョクも左ヒジを返す。  さらにシングルレッグの河名に片足立ちのケンケンで立ち、軸足払いもすかすジェヒョク。ボディストレートで前に詰めると右ロー。さらに右ストレートを当てる。回る河名。河名の前手の飛び込みをかわすジェヒョク。右ミドルを当てると、そこに左フックを合わせる河名。ジェヒョクは右ローを当てる。  河名の左右をかわすジェヒョク。河名の組みに合わせてバックフィスト! もらった河名は左アッパーを返して首を押さえて押し込むと右ヒジ・ヒザへ。その首相撲に左フックを上下に打ち分けるジェヒョクは突き放す。回りながら前に出てくる河名は右オーバーハンド、さらに右のダブルもかわすジェヒョクは左右の連打で前に。互いに右ローを交錯させてゴング。  3R、左フック、左ローを先に当てる河名。ジェヒョクは大きな左を振るがかわした河名が右で差して組み。それを突き放すジェヒョク。口から出血するがワンツーの右を当てるジェヒョク。左前手を当てる河名も押し戻し。そこに後ろ手に組んで「打って来い」と挑発するジェヒョク。左を突くと、その打ち終わりに河名は右で差して組み。ジェヒョクは右で差し返して離れる。  右を当てる河名。ジェヒョクも左を返すと河名はついにボディロックから持ち上げてテイクダウン! しかしすぐにブリッジするジェヒョクがスタンドに。なおもテイクダウンする河名にすぐにシングルレッグでレッスルアップで立ち上がるジェヒョク。金網に詰めてダブルレッグテイクダウン! 腰を抱くジェヒョクに、金網で上体を立てて座る河名は細かい左のパンチ。  金網使い立つ河名になおもシングルレッグもここは切る河名。詰めるジェヒョクに左をヒット。スタンドでお見合いのなか、後ろ手に組んでみせるジェヒョク。前に出るのはジェヒョク。河名も打ち合うもゴング。両手でケージを掴むジェヒョク。河名もマットに大の字に。  判定は、1者が29-28で河名を支持も、2者が29-28でジェヒョクを支持。河名のテイクダウンを切り、寝かされても抑え込ませなかったジェヒョクが打撃で上回り、決勝進出を決めた。  フェザー級決勝は、パン・ジェヒョク(韓国)とダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)に決定。  ケージに上がったダギースレンは、決勝戦に向けて「とてもいい選手と戦えて嬉しかったです。今の気持ちは最高です。チャンピオンを決める決勝で、もっと良い試合ができるよう準備します」とコメント。  対するジェヒョクは「ありがとうございます。PANCRASEでは判定で落としたけど、GLADIATORのジャッジはフェアに判断してくれました。GLADIATORはウォリアー、私もウォリアーです。チャンピオンになります」と答えた。 [nextpage] 新星グラジ生え抜きのチハヤフル荒ぶるもあと1歩届かず ▼第13試合 GLADIATORフェザー級王座決定トーナメント準決勝 5分3R〇ダギースレン・チャグナードルジ(Shandas Devjeeモンゴル/MGL-1フェザー級王者)[判定2-1]※29-28×2, 28-29×チハヤフル・ズッキーニョス(MIBURO)※ダギースレンが決勝進出  チハヤフル・ズッキーニョスはMMA7勝1敗。うち6つのフィニッシュ勝利をマークしており、4つの一本勝ちは腕十字、三角絞め、リアネイキドチョーク2つと多彩な寝技を誇る。  京都で福田龍彌も所属するMIBUROで研鑽を積み、GRACHANとの合同興行を含め、GLADIATORでは4連勝中。2022年4月に瀧口脩生に判定負けが唯一の黒星で、以降はDEEP大阪で堂園悠、GRACHANで大搗汰晟、WARDOGで今村豊を相手に3連勝している。新星GLADIATORにあって生え抜きと言っていいファイターが、ベルトに挑む形となる。  試合前にチハヤフルは、「GLADIATORでチャンスをもらえたことが僕の格闘家としての始まりです。このところ他団体に参戦していましたが、トーナメント出場という形で戻って来ることができて嬉しく思います。僕が離れている間にも選手層が広がり、急激にレベルが上がっていると感じます。  強者が集うトーナメントを勝ち抜いて優勝したときには間違いなく王者に相応しい男になっていると確信しています。正直な話、これまでにGLADIATOR初参戦の選手がいきなりタイトルに挑戦してベルトを持っていくのを見ていて、面白くありませんでした。  その点、今回はトーナメントなのでドロドロの潰し合い、人生の奪い合いになると思います。それでこそのベルト、それでこその格闘技だと思うので、目の前の相手を片っ端から倒して、僕が一番、GLADIATORのベルトが似合う男だと証明します」と、王座獲得への強い思いを語っている。  対するダギースレン・チャグナードルジは、モンゴルMGL-1FCフェザー級王者。戦極やK-1で活躍したジャダンバ・ナラントンガラグの門下生で、MMA5勝0敗と負け無し。  1999年大晦日生まれの22歳で、遊牧民の家庭で生まれ育ち、幼少期からモンゴル相撲に慣れ親しんできた。テコンドーから正式に格闘技を始め、県大会で準優勝2度。ノーギグラップリングではモンゴル・ナショナル選手権で銀メダル獲得している。2023年1月に力強いパンチでトゥルバヤル・フレルバートルをTKOで下しMGL-1FCフェザー級王者についた。  ダギースレンは、「トーナメントに呼んでもらえたこと、とても嬉しく思っています。そして、自分が新チャンピオンになると信じています。自分は目指している目標に向かって毎日練習に励んでいます。今回のトーナメントでは練習で培ったものを全て出して、自分がどれほど強い人間かということを見せつけるつもり。チハヤフル選手、火の出るような熱い戦いをしましょう」と、激闘を予告している。  1R、向かい合うと身体の厚みを感じさせる5勝無敗のダギースレン。チハヤフルはサウスポー構えで左の蹴りから入る。右の蹴りも見せて左に回るチハヤフル。ダギースレンが距離を詰めて右を突くがかわすチハヤフル。  右ボディストレートから右フックの上下に散らしたダブルで飛び込むダギースレン。下がるチハヤフルは右回りに。そこに左ローで止めるダギースレン。さらに右。そこに右を狙うチハヤフルだが当たらず。ダギースレンのパワフルなワンツーの右から左に後退したチハヤフルは右にサークリング。左ハイを打つがかわされる。  右ミドルハイを当てたのはダギースレン。距離が空くとチハヤフルは左ミドルハイをガード上に当てる。しかしダギースレンは右前蹴りを腹に突き、右ボディで前進。走ってサークリングするチハヤフルを追うダギースレンは右のスーパーマンパンチ。  詰めるダギースレンに、チハヤフルはダブルレッグから小外がけ。これは残したダギースレンにシングルレッグに切り替え、さらにリーチある右で差して左手とクラッチしてボディロックから大腰気味に投げると、左で小手に巻いたダギースレンは右手をマットに着きながら投げを潰して上に!  フルガードのチハヤフルは右手で足をすくうが、ダギースレンはインサイドからパウンド。金網まで運んでヒジ、ボディ打ち。腰を切って腕十字に行くチハヤフルだが、すぐにヒジを抜き、右パウンドを落としてから離れたダギースレン。チハヤフルは下のまま蹴り上げを見せてゴングを聞いた。  2R、左関節蹴りを突くダギースレン。ジャブは出さず、右の強打を狙う。そこに左ミドルを当てたチハヤフルが前に。シングルレッグから四つに持ち込み、小外がけテイクダウン! マット中央でダギースレンに背中を着かせるチハヤフルは、すぐに足を超えてマウントに。  ケージまで動くダギースレンに、左で枕にして細かいパウンドはチハヤフル。ダギースレンは下から抱え込んでしまう。エビを打つダギースレンはチハヤフルの首を抱えてから巻き込んで上になるが、差しているチハヤフルがバックへ!  上体は金網に立てるダギースレンに右足をかけてから両足をかけてパウンドよりもコントロール。残り1分30秒。中腰になるダギースレンは背後のチハヤフルの左手を持って前のめりさせてから、一瞬背中をつけて正対。そこでチハヤフルの右足を持ち上げて上に!  フルガードのチハヤフルは腰を切って腕十字狙いもここは顔に足をかけさせないダギースレン。腰を切るチハヤフルは下から鉄槌。上のダギースレンも十字を警戒しながら鉄槌を落とす。  3R、チハヤフルが左ミドルでけん制して間合いを作ると、遠間から左オーバーハンドも見せる。かわすダギースレンは左ジャブの刺し合いを当て、さらに右をガード上に当てて前に。金網背にサークリングはチハヤフル。左オーバーハンドで詰めてニータップへ。これを切るダギースレンに、なおもシングルレッグも足はかけられず。  足を手繰ろうとするチハヤフルにダギースレンは右をヒット! 離れて下がるチハヤフルもカウンター左を当てるが、詰めるのはダギースレン。ヒザ蹴りのモーションで押し戻すチハヤフルにダギースレンは右を振る。チハヤフルもワンツーの左で詰めるが、そこにヒザを返すダギースレン。  チハヤフルは遠間の後ろ廻し蹴りはかわされるが、そのステップで詰めて右ミドルハイを腕にヒット。ダギースレンは左前手フックで押し戻すと、ワンツーの右。その圧力にチハヤフルは下がり、ダギースレンの右の連打に手数が減る。  ダギースレンの右ボディを受けたチハヤフルは、跳びヒザを見せて近づきシングルレッグも、その左脇をすくってダギースレンはバック、4の字ロックに! リアネイキドチョークは喉下に入るが、身体の伸ばしてダギースレンの腕を上に押し上げたチハヤフルは脱出して正対して上に!  ここで休まずすぐに足を超えてマウント、左右のパウンドにダギースレンは背中を見せるとチハヤフルはバックからリアネイキドチョーク狙い。足を4の字には組んでいないチハヤフル。喉に組ませないダギースレンは、チハヤフルが右手を巻いてきたところをかわしてヒジを前方に押し流して脇を潜ると、正対際にシングルレッグで上を取り返しに。  最後の勝負のスクランブル。片足を手繰るダギースレンに、右脇をすくうチハヤフル。は、右に開いてダギースレンを崩すと、右回りで正対して左足を背中にかけに行く。しかし右は差したままのダギースレンも互いにマットに頭をつけながら上体を起こしてチハヤフルの左脇から頭を起こして差していた右手と左手をロックして押し倒して上に!  残り40秒でついにチハヤフルに背中を着けさせる。右脇を差して押さえ込み、腰を抱くダギースレン。そこにチハヤフルは背中を見せながら、背後のダギースレンの右足を巻き込んで前転も、ついていくダギースレンが足はかからずとも首に右手を巻いてチョーク! 右足をかけさせないチハヤフルは極めさせずゴング。  両者ともに大の字でマットに横たわると、師匠のナラントンガラグは、先にチハヤフルの口に水を流し込み、その後で弟子のダギースレンに水を与えた。  判定は2-1に割れ、1者が29-28でチハヤフルを支持も、2者が29-28でダギースレンを支持。決勝進出を決めたダギースレンは、ケージを出るときにマットに一礼。ナラントンガラグとともにケージを降りた。  際を譲ってスプリット判定で敗れたチハヤフルだが、今後に期待を抱かせる熱戦を展開した。
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