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2018年大晦日の午前に開催された「RIZIN 平成最後のやれんのか!」。同大会で、その実力をあらためて証明したのが朝倉未来と朝倉海の朝倉兄弟だった。
愛知から上京し、トライフォース赤坂に所属。和術慧舟會HEARTSやALLIANCEにも出稽古するなかで、トップファイターとの練習で課題を克服し、それぞれの強みがさらに際立ってきている。
大晦日には、未来が現修斗世界フェザー級ランキング1位のリオン 武を2R2分39秒TKOに降し、海が2018年6月にKO負けを喫していたムン・ジェフンに判定勝利、リヴェンジを果たしている。
未来はリオンの打撃を見切り、テイクダウン狙いをしっかり切って、最後は、左のフェイントでリオンの頭を傾けさせたところに“狙っていた”左ヒザを突き上げた。
海は、前戦ではほぼ見せることが無く、仕掛けても切られていたテイクダウンを1Rからシングルレッグ、ダブルレッグと様々なバリエーションで成功させて削り、ジェフンの見え辛い打撃の精度を落とさせ、難敵を完封した。
天賦の才に加え、生活のすべてにおいて格闘技に向き合うことで、新たな強さを手に入れた朝倉兄弟が、試合後に語っていたこととは? 対戦相手のコメントも交え、紹介する。
◆朝倉未来「俺をテイクダウンするのは相当難しいと思う」
──試合を終えた率直な感想を。
「そうですね……まあ、結構相手も研究していたんだなと思ったんですけど、1R目で相手の動きを分析して、最後フィニッシュできて、よかったなと思います」
──2R TKO決着は狙っていた通りの展開でしたでしょうか。試合展開の流れの中で決まった感じでしょうか。
「1Rのパンチの避け方が一緒だったので、そこで左のストレートのフェイントから(相手に頭を避けさせたところに)跳びヒザ。1Rで分析して変えました、作戦を」
──実際に戦ってみて、リオン選手の印象はいかがでしたか?
「試合とか研究していた時に、パンチのスピードがすごい遅いんで全然見えるのかなと思ってたんですけど、すごくタイミングがうまくて1発もらいましたね。まあ効きはしなかったですけど」
──経験値を感じましたか?
「そうですね……でも、まあ、あまり何もさせなかったかなと思いますけどね」
──リオン選手は独特の打撃とテイクダウンが融合した選手ですが、ニータップにも倒れることがありませんでした。
「まあ、俺をテイクダウンするのは相当難しいと思うんです。練習でもほとんどとられないんで。それを、初めて戦う人だと俺からはテイクダウン取れないと思います」
──大晦日の試合の雰囲気は?
「ちょっと冷静になりすぎていて、あんまり自分がエキサイトできなかったので、ちょっと周り(の反応)も、聞いてなかったですね」
──もっとアゲていきたかった?
「そうですね……最近なんかどんどん緊張しなくなっていて、自分でもヤバいなっていう風に思っているんですけど、いやあ、緊張する方法を考えたいですね」
──興奮するのに緊張は必要ですか。
「そうですね、緊張を悪くとらえる人もいるでしょうけど、緊張するといつも以上の力が出せると思っているので、日常の練習の感覚で今日、リングに上がっちゃったので、もうちょっと非日常的な感覚で試合に臨めるようにしたいですね」
──「日常の感覚だった」ということですが、そんなに相手を強いと思っていなかった?
「結構、試合前にイメージトレーニングするんですけど、今回研究しすぎて、試合(場)に立った自分をイメージトレーニングを何回もしていたら、ちょっとデジャブみたいになってしまって(苦笑)。何回目の現実かよくわからないという、それで緊張しなかったですね」
──非日常というのは、RIZINにもっと強い相手を当てて欲しいと?
「いやいや、今回は相手が弱くて緊張しなかったとかではなく、ちょっとイメージトレーニングしすぎましたね」
──今後の展望や目標があれば教えてください。
「2018年は結構、いい結果を残せて、まあ全勝だったので、まあ2018年に負けないように、2019年も頑張っていきたいですね」
──前回の日沖発選手に続いて、日本のトップクラスの選手を倒しました。今回、なかなか相手が決まらなかったと言っていましたが、どんな相手と戦いたいですか?
「うーん、盛り上がる相手とやりたいですね。五味選手とかどうですかね? やってみたいです。そうやって言うと『老いぼれ』だとか言われるんで、現役の強い選手でもいいですけど。みんなが望む試合がやれたらと思います」
◆リオン武 「打たれ強くて気持ちも強くて腰も強くて。そもそも強い選手だと思いました」
「強い選手でしたね。打撃が鋭くてっていう予想はしていたけど、予想通り速くて鋭い選手でした。
(朝倉が)前に出てきたところに右のカウンターを当てたかったんですけど、まあ何回か当たったんですけど、打たれ強かったですね。打たれ強くて気持ちも強くて、そのなかでテイクダウンを取れたらと思ったんですけど腰も強くて。そもそも強い選手だと思いました。
右を当てて左ハイに、軸足払いも狙っていたんですけど、結構体幹が強いというか、安定感があったので倒れてくれなかったですね。あそこで、取りたいところでテイクダウンが取れませんでした。
(右ローも当てていたが?)サウスポーで来ると思っていたらオーソドックスで来たので、それがちょっと想定外だったんですけど、でも、自分はローが得意なので、オーソになったらいつも通り強いローを当てようと思っていました。嫌がっていたとは思うのですけど……。
(初参戦で短期間の調整になったが?)調整はいつもトレーニングしているので、20日間くらいあったので、まあ、体重も68kg契約なので仕上げられました。大晦日なので多少無理してでも出たいというのがあったので、それなりに万全に仕上げられたと思います。
(今後について)少し休んで。まあどうせ格闘技しか自分はできないので、また身体が戻ったら、また練習して試合すると思います」
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◆朝倉海「レベルが高くなっているこの軽い階級でトップを目指して頑張っていければ」
(リング上で)「疲れて……。本当にたくさんの応援ありがとうございました。1年半前に負けて本当に悔しくて、そこから本気で格闘技に向き合うようになって、それからここまで強くなりました。強くなるきっかけをくれたムン・ジェフン選手に感謝しています。来年は、RIZINを引っ張る選手になって、日本の格闘技を盛り上げるので応援お願いします」
(バックステージにて)
──試合を終えた率直な感想を。
「とりあえず絶対、今回同じ相手に負けたら終わりだと思っていたんで、しっかりとリベンジを果たすことができて、そこはホッとしています」
──3-0の判定勝利という結果でしたが、全て出し切れた?
「とにかく最後まで倒しに行って、出し切れたは出し切れたとは思うんですけど、やっぱりしっかり倒したかったのでそこは少し悔いが残ってます」
──朝倉海選手からテイクダウンに行きました。これは作戦通り?
「そうですね。向こうがグラウンドが苦手と分かっていたので、そこを狙っていましたね。(グラウンドの戦い方には)自信があります。本当は一本とか、もっとパウンドも打ちたかったのですが、そこができなかったのはちょっと反省点ですけど、まあコントロールはしっかりできたと思います」
──いまではグラウンド得意な相手でもいける自信がある?
「グラウンドが得意な選手ともやりあえる実力があると思っています」
──最後は両者ともに死力を振りしぼっての殴り合いになりました。
「最後、覚悟決めて倒しに行ったんですけど、ちょっと熱くなり過ぎて大振りになったりしたので、あそこでもっと冷静に上下に散らしたりできていけば倒せたと思うので悔しいです」
──ムン選手と対戦した印象は?
「いやー、本当に強かったです。前回やったときは何もできずにボコボコにされて負けたので、やっぱりこの1年半で成長できたのを感じられたし、強くなっているのを証明できたのがほんとうに良かったです」
──ところでマネル・ケイプ選手との写真がSNSに上がっていましたが。
「昨日、向こうの方から話しかけてくれて『勝とうぜ』みたいなこと言ってくれたので、僕自身やる気になりました。ちょっとびっくりしました。『頑張ろうぜ、お互い勝とうぜ、Good Job』みたいなこと言ってましたので、こっちも『お互い勝とうぜ』と」
──今後の展望や目標があれば教えてください。
「本当に上京してから強くなったので、このペースで強くなれれば本当にトップを狙えると思うので、今この軽い階級がレベルが高くなっている中でトップを目指して頑張っていければと思います」
4月のRIZINで戦いたい
— 朝倉 海 (@kai_1031_) January 17, 2019
佐々木憂流迦@Ulka_Sasaki pic.twitter.com/GFQDfvxMXC
海くん
— 佐々木憂流迦 Ulka Sasaki ウルカ うるか (@Ulka_Sasaki) January 24, 2019
やろうよ@kai_1031_ pic.twitter.com/PXShxkYfje
◆ムン・ジェフン「グラウンドに持ち込まれたことで体力を消耗した」
「朝倉海選手が、非常にしっかりと準備をしてきた印象です。大変辛い苦しい試合でした。今も辛い思いをしています。
(前回と比べて朝倉海選手の印象は?)以前は自分が勝利し、今回リベンジされたわけですが、今回は以前と違う印象でした。かなりしっかりと用意周到に準備してきたのだと思います。MMA的に成熟した試合運びをしてきたイメージです。敗因は、朝倉選手の方が自分よりしっかり準備をしてきたということに尽きると思います。私も同じ選手として、私を目標に、リベンジのためにしっかり準備してきた彼に感謝したいと思います。
今回の試合に向けて、朝倉選手のRIZINでの試合も見直して、以前に比べ、タックルやレスリング的要素が上達しているなという風に、分析していました。自分なりにその準備をしたつもりでしたが、準備したことが試合の中でうまく活用することができなかったと思います。
特に、2Rでキックしようとした時、自分でも予想外でしたが倒れてしまい、攻め込まれてしまいました。それが自分でも悔しい部分で、グラウンドに持ち込まれたことで自分の体力も消耗したし、自分が展開しようとした試合の流れも途切れてしまったと思います。
最後の打撃戦は、相手が非常に強く立ち向かってきたので、それに対して一歩も引くまいと最後まで集中力を切らさずに努力をしましたが、最後、その努力が足りなかったかなと思います。それが敗因の一つだと思っています。
会場は興奮したということですが、私自身は試合に集中していたので、会場の雰囲気は全くわかりませんでした。今後は、ひとまず韓国へ帰国をし、今後の計画についてじっくり時間をかけて準備したいと思っています。どうなるか、展望は今の時点では自分ではよくわかりません」