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インタビュー

【PANCRASE】第9代キング・オブ・パンクラシストとして『ROAD TO UFC』ワンマッチ出場も決定、雑賀“ヤン坊”達也「“挑戦する”って人生を楽しくする」

2024/04/25 17:04
 2024年3月31日(日)東京・立川ステージガーデンにて開催された『PANCRASE 341』(U-NEXT配信)メインイベントで「PANCRASEライト級タイトルマッチ」が行われ、雑賀“ヤン坊”達也 (DOBUITA)が、アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/ALMA FIGHT GYM PUGNUS)に挑戦。1R 1分42秒、右ハイキックによるKO勝ちで新王者に輝いた。  試合後、「ありがたい事に次戦の事でめちゃくちゃいいお話もあって、めちゃくちゃ幸せな事で悩んでます。まじで悩みすぎて、嬉しい事なんだけど病みそうです」と記していた雑賀。  その2週間後、5月18日(土)と19日(日)に、中国・上海のUFCパフォーマンス・インスティチュート(UFC PI)で開催される『ROAD TO UFC』シーズン3の「ワンマッチ」に雑賀の出場が発表された。 ▼ROAD TO UFC ライト級 5分3Rキ・ウォンビン(韓国)17-9雑賀“ヤン坊”達也(日本)11-4  対戦相手は、韓国の強豪キ・ウォンビンで、ヴィトー・トファネリやグスタボ・ウーリッツァーに勝利しているGLADIATOR王者。2021年の『ROAD TO UFC 1』では一回戦で階級下の鹿志村仁之助に1R TKO勝ちも、準決勝でインドネシアのジェカ・サラギの右ストレートに1R KO負け。2023年の『ROAD TO UFC 2』にも出場し、バテボラティ・バハテボラを右でダウンさせるも、後頭部にパウンドを入れてしまい反則負けで敗退となっている。  ライト級はトーナメントが実施されない階級だが、勝ち方によっては、過去のワンマッチでの勝者チャン・ミンヤンやニャムジャルガル・トゥメンデムベレルのように、本戦契約の可能性もあるなかで、雑賀はいかに戦うか。 『RTU3』出場決定前のインタビューを紹介したい。 [nextpage] 自分が冷めないうちに、目の前に来たチャンスをどんどん掴んでいきたい(雑賀) ――雑賀ヤン坊選手、アキラ戦では右ハイキックでの見事な1R KO勝ちでした。 「自分も転んじゃいましたが(笑)。しかも転んで綺麗に後ろ向いちゃったんで(苦笑)。でも相手も倒れていたんでビックリしました」 ――今まで蹴りでのKOは無いですよね。隠し持っていた? 「蹴りでのKOは初です。狙わせていただきました」 ――今回、アキラ選手がガードを下げて、ダックして避けてフックを回してきてた。得意の右のパンチは警戒されているのは感じていましたか。 「そうですね。アッパーとストレートは絶対警戒してるから、今日はもうこれは当たらないなと思ったから、蹴りに切り替えたんです。相手が完全に下向いて頭をずらしているのを4回くらい確認して、“蹴りいけるわ”と思って」 ──狙っていたということは、ハイキックのイメージもあった? 「ハイキックは元々想定してたんですけど、この前、RIZINでサトシ選手が(中村K太郎を)ハイキックでKOしていて。あのとき“ハイキックいいな。これけっこうあるぞ”と思ってイメージしていたんです」 ――練習でも使っていたのですか。 「はい。長岡(弘樹・DOBUITA GYM代表)さんは何回か蹴られてます(苦笑)。今回も蹴りが入ったのは分かったんですけど、転んで俺、後ろ向いちゃったんで、失神してるのが分からず、(バック)取られると思って」 ――で、振り向いたら……。 「あれ? みたいな。梅田(恒介・レフェリー)さんが止めに来てて」 ――打撃のみならず、アキラ選手との距離が近くなったときの組みも切っていました。テイクダウンされない、あるいは切れるという手応えは? 「やっぱり“長岡弘樹と練習してるっていいな”と思いました。アキラ選手、強かったですけど、対応できる。“ああ、対応できるレベルだな”と正直思えたんです。“いつも長岡さんとやってる。これなら平気だ”と思いました」 ──102秒でのKO勝ち。試合後は仕事と並行しての練習してきたことを語っていましたね(「やった……(泣きながら)やっと何かで一番になることができました。今日までほんと辛くて、仕事しながら格闘技やるのも結構しんどくて、その中でもそれを言い訳にして格闘技を軽い気持ちでやることは僕には出来なくて、ただ一生懸命、一生懸命、一番になるためにやってきました」)。 「本当につらかったので……。いつも大体仕事(※雑賀は米海軍横須賀基地内に務めている)で、朝から定時だと午後5時に終わるんですけど、大体いつも2時間くらい残業をしているので、家に帰るのが7時10分とかで、そこからパッと支度をして、7時半くらいにはジムに着いて、9時半くらいまで練習したり、いっちゃうときは夜10時とかまで練習したりしてます」 ――仕事後に、DOBUITAやSONIC SQUADへの出稽古もして、朝には出勤している。それを週6日というと、ほんとうに大変でしょうね。社会人として生活しながら格闘技に向き合って、正規のベルトを獲った。感無量では? 「ベルトを巻いてもらった瞬間に自然と涙が溢れ出て。ベルト獲るまでの7年、色んな事あったなあって。なんか色々とこみ上げてきまして。仕事しながら格闘技って普通に大変だったし、本当しんどくて嫌になる時もあったけど、諦めないで良かったと、心から思いましたね」 ──雑賀選手の試合前には、同じDOBUITAの石田陸也選手が、フェザー級ランカーの遠藤来生選手に3Rの判定の末に競り勝ちました。その姿も力になったのではないですか。 「それはもう、本当にずっと一緒にやってきて、自分で言っちゃうと申し訳ないんですけど、自分はPANCRASEでボンボンいって、彼は伸び悩んで苦しんでいた時期もあって、でもずっと一緒に練習していて、いいところに行ける実力があるのは分かっていたので、でも、なかなか試合結果がついてこなくて。今回は一緒に出るというので、気合入れて根性見せてくれたので。厳しい試合をあそこで乗り切ったのは、本当石田くんにとってもデカかったなと思うので、これからまた注目していただけたらと思います」 ──試合後は、「PANCRASEの3大ゴリの2ゴリをやっつけたんで、最後は久米(鷹介)さんとやんなきゃなと思っているんで、久米さん、来月(※4月29日に粕谷優介と対戦)頑張ってください」とエールを送っていました。2021年の統一王座戦では、雑賀選手が先に右でダウンを奪ったものの腕十字で逆転負け。負傷もしました。いつか再戦したいとは思っていたのですか。 「久米さんに負けて。でも本当にあの敗戦って僕の中で宝物で。本当にいろいろなものを得た試合だったので。“ゴリラ狩りのヤン坊”みたいになっていますが、PANCRASE側もそういうストーリーを作っているのかなというのはちょっと思いますね。久米さんが勝ったら久米さんしかいない。粕谷さんが来るのか分からないですけど、自分としては檄を飛ばしてきました」 ――やはり敗れた相手にはやり返したいのですね。ほかにもそういう試合がありましたね。 「RIZINでのリベンジも、まだ勝ててないのでやり返したい、そういう気持ちはありますね」 ――それに、チャンスがあればもちろん海外にも進出したいという思いを以前から語っていましたね。 「そうですね。もう行けるところはバンバン。とにかく僕も33歳でおっさんになってきちゃっているので」 ――一番調子良い状況ではないですか。 「今が、まあでも強いです。だから、本当に目の前に来たチャンスをどんどん掴んで。人それぞれですが、自分が冷めないうちに、試合が組まれるのであればどんどん挑戦したいです」 ──最後にファンにメッセージを。 「“元”暫定ライト級王者になりまして、これから“第9代”キング・オブ・パンクラシストになりました。雑賀“ヤン坊”達也、これからも応援よろしくお願いします!」  インタビュー後、雑賀の『ROAD TO UFC』出場が決定した。  戴冠後、「昔は飲んだくれて本当にしょうもなかった僕ですが、少しは変われましたかね? “挑戦する”ことって人生楽しくするし、諦めなければ絶対にいい事ってあるんだなってそう思えました」と、SNSに記していた雑賀は、今回の「UFCへの道」の第1歩に向け、「最後のチャンスだと思います。ワンマッチだけど、ド派手なインパクト残して契約、掴み取ってきます。一瞬の隙を絶対に見逃しません!」と記している。
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